最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
「バタバタしちゃうけれど、明日のうちに帰りたいから準備してちょうだい」
「……わかった」
「おい!」

 お母さんの言葉にしょんぼりしながらもうなずくと、杏くんが怒鳴るように叫んだ。

「望乃! お前、こんな急でいいのかよ!? もうちょっとねばれよ! 俺らと別れんの、そんなアッサリでいいのかよ!?」
「……いいわけないよ」

 杏くんの言葉はグサグサと刺さってくる。
 だって、それは私自身思っていたことだったから。

 こんな急でいいわけがない。
 もっとねばって、もう少しみんなといたい。
 こんなアッサリしたお別れなんて嫌だ。

「でも、ハンターになるのが私の夢なの。ハンター協会からの呼び出しを無視することなんて出来ないよ」
「でもよ!」

 それでも納得いかないらしい杏くんは声を上げる。
 でも、私の気持ちを(さっ)してかそれ以上の言葉は出てこなかった。
 すると今度は柊さんが寂しそうな表情で私に近づいてくる。

「望乃さんの気持ちは分かったよ……でもやっぱり寂しいな。もっと君といたかったし、伝えたいことだってたくさんあるのに」
「柊さん……」

 私の気持ちを理解しつつそれでも寂しいと言う柊さんに、胸がキュウッと締めつけられた。
 ああ……私は本当に、柊さんのことが好きなんだなって思う。
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