最強メイド！おぼっちゃまたちをお守りします！

「弧月望乃です。期間限定で常盤兄弟の護衛をしています。よろしくお願いします！」

　元気にハキハキと自己紹介出来たと思ったんだけど、杏くんは「なっ!?」って声を上げて驚きの表情をしていた。
　それに教室のみんなも反応がおかしい。
　ザワザワと戸惑いみたいなものを感じる。

「護衛？　女だろ？」
「本当なの？　杏くんたちに近づくためのウソなんじゃないの？」

　そんな声が聞こえてきて、信じてもらえていないからだって気づいた。

「本当なのに……」

　信じてもらいたかったけれど、自己紹介にあまり時間を取られたくない先生に「次」ってうながされる。
　モヤモヤしたまま椅子に座って、次の人の自己紹介を聞いた。
　周りからの疑わしそうな目のせいで居心地が悪い。
　それに、杏くんがものすごい顔でにらんできてる。

　あーもう。
　学園生活も前途多難(ぜんとたなん)だよ……。

　いいもん。
　一か月だけだし、依頼を頑張るのが私の仕事だもん。
　私は拗(す)ねるようにそんなことを思いながら他の人の自己紹介や担任の先生の話を聞いていた。