最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
「あ、でも――」

 でも、私は一か月しかこの学園にいないって伝えようとしたんだけど……。

「なに? 君、クラスメートの名前もう覚えちゃったの? 俺の名前も分かる?」

 私たちの話を聞いていたらしい男子が話しかけて来た。
 ちょっと色素が薄めなのか、ミルクティー色の髪と茶色の目をしてる男子。
 一見優しそうな感じに見えるけど、なんだかちょっと軽そう。

「もちろん覚えたよ。梶隼人(かじはやと)くん」

 この子も外部生だ。
 やっぱり外部生同士の方が話しかけやすいのかな?

「わ、ホントに覚えてるんだ? えっと……」
「……弧月望乃だよ」

 梶くんは私の名前を覚えていないみたいだったから改めて教える。
 すると梶くんは口の中で転がすように私の名前をつぶやいた。

「望乃……のの……うん。これからよろしくな、のんちゃん」
「のん、ちゃん?」

 いきなりのあだ名に戸惑っているうちに、梶くんは香澄ちゃんにも「そっちもよろしく。えーっと、カスミン!」なんてあだ名をつけている。
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