最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
「あ、そういえば柊さんって学園ではいつもあんななの?」
「は?」

 態度は悪いけれど無視はしない杏くん。
 何言ってんだ? って顔の彼に、私は続ける。

「入学式のあいさつのときの柊さん、すっごいキラキラした笑顔だったでしょ? 家にいるときとは大違いだったから」
「ああ……」

 追加の説明で私の聞きたいことを理解した杏くんは、納得しつつもムスッと不機嫌顔になる。

「兄さんは学園――っていうか、家の外では大体あんな感じだよ。長男だし、色々あるんだよ」

 そうして私から視線をそらして、歩きながらボソッとつけ加えられる。

「家でくらい、周りの目を気にしないでゆっくりして欲しいじゃんか」

 聞こえたつぶやきに私は目をパチクリ。

 え? あれってリラックスしてる状態だったの?
 あの無表情がリラックス?
 柊さんって一体どういう人なんだろう?

 でも杏くん、ゆっくりして欲しいとか案外お兄さん思いなんだね。
 ちょっと見直しちゃった。
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