最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
「……本当に、ヴァンパイアなんだな」
「そうだって言ったじゃない。信じてくれたんじゃなかったの?」

 少なくともヴァンパイアだってことは信じてくれたと思ってたのに。

「いや、まあ、兄さんの話を聞いたから信じたけどさ……でもまだ半信半疑(はんしんはんぎ)だったって言うか」
「ああ、それで今の身体能力を見て本当だって思ったの?」

 そういうことか、と納得する。
 人間、実際に見たり体験したりしないと実感できないことってあるよね。

「そうだよ。……本当に、人間じゃねぇんだなって思った」
「……」

 その言い方に少し表情がこわばる。
 ヴァンパイアだって話したときも普通だったから大丈夫だと思ってたけれど、もしかしたら実感したら怖くなっちゃったのかもしれない。
 人間じゃない、化け物だって。
 父方のいとこにも言われたことがある。
 化け物がハンターになれるわけないだろって。
 あのときはすぐにおばあちゃんがゲンコツを食らわせて叱ってくれたけど。
 でも、そう思う人もいるんだなって悲しかった。

 まさに今、杏くんにそう思われているのかもしれない。人間離れした化け物だって。
 仲良くなれたと思っていたから、怖がられたらやだな。
 そう思ってしょんぼりしていると、杏くんは怒ったような声で話し始める。
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