最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
「で? その人間離れした身体能力を見せつけて、ヴァンパイアだって隠す気あんの?」
「え?」
「人間の、しかも中学生があんな記録出せるわけねぇだろ!?」

 怖がられたかもと思っていたのに、なぜか怒られてしまって戸惑う。

「え? でもほら、護衛として訓練してるってことで……」

 ちゃんと力は抑えたし、と説明すると今度はあきれられた。

「抑えてあれかよ……。でもいくら訓練してたってことにしてもあれはやりすぎ、もっと抑えろ」
「そう、かな?」

 別に大丈夫なんじゃ無いかなと思っていると、そんな私の様子に気づいたらしい杏くんは目をつり上げて怒る。

「もっと! お、さ、え、ろ、よ?」

 わざわざ一音ごとに区切るあたりその怒りが伝わってくるようだ。

「わ、わかったよう」

 仕方なく了解の返事をすると、「よし!」とうなずいて怒りを治めてくれた杏くん。
 そんな杏くんに、私は逆に不思議に思う。

「ねえ、杏くん」
「ん? なんだ?」
「私の人間離れした身体能力を見て、怖いとか思わなかったの?」

 ちっとも怖がられてる様子が無いからつい聞いちゃった。

「なに? 怖がられてぇの?」

 ムッとした顔で聞き返されて、私はすぐに頭を横にふる。
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