最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
***

「あなたね、生意気なのよ!」

 校舎裏にある大きな桜の木の(みき)に、つめ寄るようにして叫ばれた。

「護衛だか何だか知らないけれど、ずっと近くにいて常盤様が迷惑しているとは思わないの!?」
「そうよ! 杏様だって仕方なく一緒にいるってわからないのかしら?」
「……えっと」

 いきなり話が通じなそうで何も言えない。
 だって、迷惑だろうが何だろうが護衛なんだから基本近くにいなきゃいけないし。
 通じなさそうって思ったけれど一応説明してみる。

「あの、でも護衛なので近くにいないとなくて――」
「それが生意気だっていうの!」

 でもまたしても問答無用で叫ばれた。

 あー、これダメだな。
 自分の意見が正しくて、それ以外は間違ってるって思いこんでるやつだ。
 諦めて聞き流すかーと思ったけれど、次の言葉には思わず息を詰まらせた。

「しかも最近あなた常盤様をずっと見ているじゃない。まさか常盤様があんたなんかを好きになるとでも思っているの?」
「っ!」

 つい柊さんを見てしまっていた最近の様子を突っ込まれる。

「常盤様が優しいからっていい気にならないで。常盤様はみんなに優しいの、あなただけが特別なわけじゃないんだから」

 そのままくどくどとお説教のように話す生徒会役員の先輩。
 私は彼女の言葉であることに気づいた。
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