最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
 そっか。
 もし柊さんが私の【ウニークス】で特別な存在だとしても、柊さんにとって私が特別になるとは限らないんだ。

 そのまま考え込みそうになったけど「あなた聞いてるの!?」というイライラした声にハッとする。
 聞き流していたのバレちゃったかな?
 でも正直に聞いていませんでしたなんて言ったら火に油をそそぐだけだし……。

 あ、そうだ!

「あ、柊さん!」

 彼女たちの後ろの方を指差して叫ぶ。

「え!?」
「うそ!?」

 後ろめたいことをしてる自覚はあるのかな?
 彼女たちはあせった様子でそろって後ろを向いた。

 そのスキをついて私は木の反対側に回り、トンッとジャンプして茂った葉に隠れられるよう枝の上に乗った。

「ちょっと、いないじゃない」

 私のウソがバレたときには木の葉が数枚落ちきったところ。

「え? あの子どこ行ったの!?」

 さわぎ出す女子達を見下ろしながら、ここでやり過ごすのが一番かなって思った。
 話が通じないんじゃあ聞いてる意味もないし、私が見つからなければあきらめるよね?

 そうして様子を見ていると、本当に柊さんが現れた。
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