最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
 何はともあれ、私がヴァンパイアだと紫苑くんの口からもバレる心配はなさそうで安心した。
 それに、紫苑くんを守るって意味ではバンパーでもあってるしね。

 はしゃぐ紫苑くんをみんなでほほ笑ましく見ながら、私たちは目的の店についた。
 まずはスーツを新調したという杏くんの用事を済ませないと。

 入った店は、この辺りでは有名なブランドショップらしい。
 イタリアの高級ブランド店のスーツもあつかっているっていうし、店構えからして高級だってことは分かる。
 店の中も高級志向とでも言うか……。
 とにかくすごすぎて圧倒(あっとう)されちゃった。

「常盤杏さまはこちらへ。他の皆さまはカフェスペースでお待ちください」

 紳士的な、まるで執事みたいな店員さんがそう言って杏くんを連れて行った。
 合流した男の護衛の人もついて行ったから、私は柊さんと紫苑くんの護衛としてカフェスペースについて行く。

 カフェスペースにもスタイリッシュなスーツや素敵なドレスが見本として(かざ)られていて、見ているだけでも結構楽しい。
 でも、何度か来ている紫苑くんは待つのがつまらなかったみたい。
 何度も玲菜さんや柊さんに「まだー?」と聞いていた。

「どうしましょう。まだ時間はかかりますし……紫苑さまだけ別の場所へ遊びに行きましょうか?」

 困り果てた玲菜さんが提案するけれど。

「やだー! にーちゃんやののねーちゃんといっしょがいいー!」

 私たちとは離れたくないと叫ばれる。
 どうしましょうと更に困り果てた玲菜さんを見て、柊さんがある提案をした。
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