最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
 柊さんと紫苑くんが選んだドレスの着せ替えは特に反対意見が出ることもなく始まってしまった。
 着替えるときに護衛出来なくなることが心配だったけれど、玲菜さんの提案で店の外に待機している護衛の人と代わってもらうことになった。
 そこまでされてしまったら、元々ドレスが気になっていた私はワクワクの方が勝っちゃう。

 ドレスなんて着たことないし、こんな高級店のものとなったらもう二度と着ることはないだろうし。
 任務中だけど、今だけはただの女の子として楽しんでもいいかな?
 おばあちゃんに知られたら確実に雷が落ちるところだけれど、護衛対象にお願いされちゃったんだし少しくらいは良いよね?

 なんて言い訳をしつつ、二人がどんなドレスを選んでくれるのかドキドキしながら待っていた。

「ののねーちゃん! ぼくのきてみて!」

 初めに選んでくれたのは紫苑くん。

「紫苑さますごいですよ。センス良くてちょっと驚いちゃいました」

 玲菜さんの言葉通り紫苑くんの選んでくれたドレスは素敵だった。

 オフショルダータイプでスカートの前部分がひざ丈になっているちょっと珍しいタイプのドレス。
 スカートの後ろは床につきそうなくらい長くて、フィッシュテールっていうタイプなんだって。
 チュールやスパンコールも使っているピンクのドレスは豪華に見えるけれど、どこか落ち着きがあって品がある。
 胸元には桜のような花のモチーフがいくつも(かざ)られていて、もしかしたら紫苑くんはこの桜を見て決めたのかなって思った。
 私と紫苑くんが仲良くなれたキッカケでもあるし、紫苑くん桜の花が好きみたいだし。
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