最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
***

 覆面男たちは無事撃退(げきたい)したけれど、さすがにこの後のん気に遊びに行くわけにはいかない。
 紫苑くんにはかなりぐずられたけれど、私たちは屋敷へ帰った。

「柊! 杏! 紫苑!」

 いまだ不機嫌な紫苑くんをなだめながらみんなでリビングルームにいると、三人の名前を叫びながら美奈都さんが入ってきた。
 とたんに満面の笑みになった紫苑くんは「おかーさん!」と駆け寄ってきた美奈都さんに飛びついてぎゅうっと抱きしめられていた。

「良かった……無事で」

 愛しい息子の存在を確かめるようにしばらく抱き締めていると、美奈都さんは立ち上がって柊さんと杏くんも抱きしめる。

「本当に無事で良かった。誘拐されそうになったって聞いた時は血の気が引いたわ」

 息子たちの存在をひとしきり確かめてやっと落ち着いたらしい美奈都さんは、紫苑くんのふわふわな髪を優しくなでていた。
 なでられて幸せそうな紫苑くんは、そのまま笑顔で「だいじょーぶだよ」と美奈都さんに説明する。

「ののねーちゃんすごくてカッコイイから、わるいやつはみんなにげちゃうの!」
「すごくてカッコイイ?」

 聞き返す美奈都さんに、柊さんと杏くんが答える。

「本当にすごかったよ。ほとんど一人で蹴散(けち)らしてたからね」
「強いんだろうなとは思ってたけど、あそこまでとは思わなかったからちょっとビビった。まあ、カッコ良かったけど」

 いつもはちょっと素っ気ない杏くんからもほめられて、さすがに照れるなぁと思っていたら美奈都さんが私の方を見る。
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