最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
***

 その夜、お風呂も早々にすませた私は部屋のカーテンを開けて太ってきた月を見上げながらお母さんに電話をかけていた。
 今日のことはしっかりと報告しないと。
 玲菜さんが催眠術をかけられていたってことはヴァンパイアが関わっているのは確実だもん。

『……そう、やっぱりヴァンパイアがからんでいるのね』
「やっぱり【朧夜】が関係してるのかな?」
『でしょうね』

 確認も込めた質問に、すぐ肯定の言葉が返ってきた。

『でも、催眠術をかけたのが男の子らしいってところが引っかかるのよね』
「あ、やっぱり?」

 組織の構成員と言えば普通は大人。
 【朧夜】はヴァンパイアの犯罪組織だから、子どもも働いていてもおかしくはないんだろうけれど……。

『これは、学園の方も本当に警戒しなきゃならないわね』

 子どもと言っても何歳くらいの子かはわからない。
 玲菜さんの催眠はもうしっかり解けていて、意識がハッキリしていない間のことは記憶にないから催眠をかけられたことすら覚えていない。
 それがヴァンパイアの催眠術だ。

 男の子とぶつかったことを聞けたのは催眠が解けるか解けないかってところだったから。
 今はもう全く覚えていないだろうから、聞いたってなんのこと? って返ってくるだけだ。

 だから学園の中に入れる年齢なのかは分からない。
 でも、警戒は必要ってことだよね。
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