最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
「さっきお手洗いに行くって言ってたよ?」
「そっか、わかった」

 そうして私から離れて行く梶くんを見てホッとする。
 顔を上げたついでに杏くんの様子を確認しつつ、私はまたスマホに視線を移した。

 柊さんのマークは学園の敷地から移動していない。
 ちゃんと学園の中にいる事がわかって安心する。

 ホッとしつつも、早くこんな状況終わって欲しいなって思う。
 さらわれたら当然助けに行くけれど、授業中は柊さんの近くには行けないし……。
 不安を抱えたままの護衛は正直気が気じゃない。

 でも、それはそれでまた別の感情が沸く。

「でも、無事に契約成立したらみんなとはお別れなんだよね……」

 それを考えると、胸にたくさんの隙間が出来てしまう気がした。
 懐いてくれている可愛い紫苑くん。
 素っ気ないところもあるけれど、家族思いで私のことも気にかけてくれる杏くん。

 そして私の【ウニークス】かもしれない柊さん。
 恋か、憧れか。いまだにわからないけれど、好きだなって思える相手。

 三人の顔が浮かんで、離れるのは寂しいなって思った。
< 86 / 127 >

この作品をシェア

pagetop