最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
「それに、僕もいる。君ほど強くないし、守られてばかりだけど……こうして支えてあげることは出来るから」
「柊さん……」

 抱きしめられて、そのぬくもりを感じて、落ち着いていく。
 本当だ。
 折れそうだった心が、支えられているみたい。

「……ありがとうございます。おかげで落ち着きました」

 お礼を言うと、柊さんは少し離れて私の目をしっかり見る。

「良かった。じゃあ、今君がするべきことは?」

 落ち着いた私は、その質問を冷静に考えた。
 杏くんがさらわれた。
 なら、助け出すことが最優先。
 でも居場所が分からないし、助けに向かえたとしてもその間に脅迫(きょうはく)の電話が美奈都さんたちのもとに行ってしまうかもしれない。
 こういう場合は、まず報告だ。

 依頼を受けると決めたとき、両親から口が酸っぱくなるくらい聞かされたこと。

『ミスをしたときこそ、報告、連絡、相談よ』
『一人で考えてはダメだよ』

 何度も言われたっけ。
 忘れてしまうくらいパニックになっていたみたい。
 柊さんのおかげで今やるべきことを思い出せた。
 感謝を込めて柊さんの目を見返し、私は答える。

「まずは、報告と相談をします!」
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