唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています
雪璃(せつ)、メシ〜。腹減った」


「ご用意は出来ております。本日の食事は、トマトジュースとピーマンの肉詰めですよ」


「俺がピーマン嫌いなの知ってるくせに毎回、手の込んだ嫌がらせするの、なんなの?俺のこと嫌い?」


「昨晩もお楽しみだったようなので、ちょっとした意地悪です」


「ヤキモチ?」


「銀の銃で撃ちましょうか」


「冗談だって!」


雷雨様の正体は人の生き血を吸うヴァンパイア。

昨晩も公園にいる女の子に声をかけて血を吸っていた。心配そうに声をかけるくせに、それもこれも自分のためなのが悪質。


お金持ちのお坊ちゃま、高身長、イケメン、成績優秀、スポーツ万能。それだけ揃っていれば自然とモテるのも当然といえば当然で。


今の時代、ヴァンパイアはそれほど珍しくない。昔は都市伝説の類だったが、今ではそれなりに数はいる。

とはいえ、出会えば血を吸われるため、怖がられているのは昔も今も同じ。


「さっさと支度してください。学校に遅刻しますよ」


「雪璃が着替えさせて。つーか、メシが先ー!」


雷雨様は、人外のために設立された夜間の学校に通っている。ほんの一部だが、私のような人間もいる。

その多くがヴァンパイアハンターやら、私のようにそれなりに強い人が通っていたり。


私はヴァンパイアハンターではないが、護身用のために旦那様から銀の銃を貸してもらっている。
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