唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています
「だからご飯はそれです」


私はトマトジュースとピーマンの肉詰めを指さした。


「むーり!」


「好き嫌いしたら大きくなりませんよ」


「俺、雪璃より高いけど?」


「……っ」


そういって迫ってくる雷雨(らいう)様。

ちょっとドキッとしたけど、こんなことで動揺してはメイドとして失格だ。いつの間にベッドから出たのよ。さっきまで眠そうにしてたくせに。


「雪璃、今日もいい?」


「ベッドメイキングが終わってません。それに昨晩は満足いくまで吸ったのでしょう?」


「あれは別。雪璃の血は他の子とは比べものにならないくらい美味いから」


ーーードサッ。


ベッドが軋む。気がつけば、私は押し倒されていた。


「ちょ……ベッド、メイキングが」


「そんなの後でいいよ。ほら、脱げよ」


「誰が素直に脱ぐもんですか」


私は太ももにくくり付けている銃を雷雨様に向けた。


「俺に勝てると思ってる?」


「っ……」


あっさりと取り上げられてしまった。

銀に触ればヴァンパイアの手は火傷よりもひどく、ただれてしまうと聞くが、現代では耐性がついているのか、軽く触れるくらいは平気みたい。

もちろん、銀の銃で心臓を撃てば致命傷になるのは本当だ。
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