唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています
「そんなこと言っていいのかなぁ?」


「?」


何かを企んでいるような笑み。整っている顔ゆえに恐ろしく感じる。

私、神宮くんに弱みを握れるようなことした?


「図書室でこんなにエッチなことしといてさ。それでもまだ雷雨くんと付き合ってないっていうの〜?」


「っ……!」


スマホを目の前に出された。そこには私が雷雨様といやらしい事をしていた写真がうつっていた。


「今すぐそれを消してっ!!」


「ダーメ」

「盗撮するなんて最低よ!」


私は神宮くんのスマホを取り上げようと手を伸ばす。だけど神宮くんの身長が高すぎて、私じゃ届かない。


「先生に言ったのは貴方ね、神宮くん」


「そうだけど?」


「その写真をどうする気?」


「キミの旦那様?だっけ。雷雨くんのお父さんなんかに見せたら面白そうだよね」


「っ、やめて!」


雷雨様はヴァンパイアだから私の血を吸うことは許されている。けれど、それ以上の関係になることは禁止されていて……。


私と雷雨様はあくまでも西園寺家の主人とメイドだから。旦那様にバレたりしたら、私はその日にでもメイドを解雇され、家を追い出されてしまう。


だからこそ、夜の遊園地だって秘密でデートしたのに。

……迂闊だった。

図書室だから見られているかもしれないという不安はあったけれど、まさか脅してくる人がいるなんて。
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