唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています
「何が目的なの?西園寺家を狙っているなら、まずは私が相手になっ……!?」


「西園寺家に興味はない。僕がイチバン興味があるのはキミだよ、佐倉雪璃ちゃん」


「ッ……」


私が銃を取り出すよりも先に、私の両手を掴んだ。
動きを止められ、指一本、自分の意思じゃ動かせない。


どんな力してるの?

私だって、人間のほうだと強いほうなのに。


「写真をばら撒かれたくなかったら、僕と付き合って」


「……嫌だと言ったら?」


「キミの骨を折って拉致して家に持ち帰って監禁してもいい」


「そんなことしたら雷雨様が黙ってない」


「なら、キミを雷雨くんの目の前で殺す」


「っ……」


雷雨様が悲しむところなんて見たくない。仮に断ったとしても、私たちの関係がバレる。だったら、私が雷雨様を守るしかない。そのためには神宮くんに従うしかない。


嘘ではないことはわかっていた。神宮くんは私と話している最中にも私の腕を掴んでギリギリと音を立て、腕をあらぬ方向に曲げようとしている。痛みには強いほうだけど、折られたら、それこそ逃げられなくなる。

雷雨様、ごめんなさい……。
貴方の唯一の血でいるにはこうするしかないの。
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