唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています
「神宮くんの彼女になる。だから雷雨様には手を出さないで……」


「利口なメイドは好きだよ。なら、忠誠の証しとして僕にキスして?」


「わ、私からですか?」


「キミは今日から僕のメイドだ。だから、命令にはなんでも従ってもらうよ」


「わかりました。っ……」


どこまで鬼畜な男なんだろうと思った。そこまでして忠誠を誓ってほしいの?


「どんなことがあっても、心は雷雨様のものですから……」


ーーーチュ。


私は好きでもない相手にキスを捧げた。気持ちが悪い。吐き気がする。今すぐここから逃げたい。


「それでもいいよ。僕は必ずキミを雷雨くんから奪ってみせるから」


「……っ」


「まずはそうだなぁ〜。このチョーカーをつけて?学校に首輪だと色々マズイし、これは首輪代わり」


「はい……」


私は神宮くんから渡されたチョーカーをつける。十字架のチョーカーは、まるで雷雨様に『近付いてほしくない』とアピールしてるみたいで、すごく嫌だった。

本当なら、このチョーカーを今すぐにでも壊したいのに。

それが出来ないのは私が弱いからだ。
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