唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています
「雷雨様!」


「っ!?」


「雷雨くんってば酷いね。可愛い雪璃ちゃんを傷付けるなんて」


「雪璃、ごめ……」


「気にしてませんから」


私は神宮くんを守るように前に出たため、雷雨様に顔を殴られてしまった。けれど、直前に雷雨様が殴る力を弱くしたから、そこまで傷にはならなかった。口からは少し血が流れたくらい。


こんなのほんのかすり傷なのに、どうしてこんなにも胸が痛いの?それは雷雨様の悲しそうな顔を見ているから。そうに違いない。


「雪璃ちゃん、帰ろう?今日からは僕の家がキミのお家だよ」


「……はい」


「待てよ、雪璃!」


ーーーバシッ。


「っ、雪、璃?」


「汚い手で触らないでください。私は神宮様のメイドです」


私は雷雨様の手を振り払った。


……心が苦しかった。私から雷雨様を拒絶したことが。でも、雷雨様と私の関係を守るためにはこれも仕方ないこと。


雷雨様は裏切らないって言ってくれたのに、まさか私から裏切ることになるなんて。雷雨様はきっと助けに来ない。たかが一人のメイドのためなんかに命をかけるわけない。


私の代わりなんていくらでもいるのだから。

私のことなんか忘れて……。私を嫌いになって。
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