唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています
「怖気づいて逃げたんじゃない?雪璃ちゃんは俺のメイドだとか、誰にも渡すつもりはないとか言ってたくせに。所詮、口先だけのチャラ男だったってことだね」


「か……さい」


「なに?」


「いい加減にしてください!」


「僕に口答えする気?」


「たしかに雷雨様はチャラ男です。私と契約しているにも関わらず、他の女の子に手を出します」


「だったら僕の言うことが合ってんじゃん」


「ですが、貴方に雷雨様の悪口を言う資格はありません!」


「雪璃ちゃんさぁ。自分の立場、わかってる?」


ーーードサッ。


「!?」


「僕が手を出そうと思えば出せるんだよ。雪璃ちゃんが傷モノになれば雷雨くんはもっと悲しむよ?それこそ契約を破棄しちゃうんじゃない?」


「そんなこと……」


「絶対にないとは言い切れないよね?」


「離して」


「逆らったら、キミと雷雨くんの関係をバラすよ」


「……っ」


言葉でねじ伏せられる。武器も没収された。私は籠の中の鳥。逃げることは決して許されない。


自由を奪われた私に残されたのは雷雨様を想うことだけ。


助けに来てほしいなんて思わない。期待もしない。
だって、雷雨様が私のせいで危険な目に遭うから……。
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