唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています
「乱れたメイド服も口から血が出てるキミも素敵だよ、雪璃ちゃん」


そういって抱きしめられた。

怖い……。情緒不安定な神宮くんといたら、次は何をされるかわからない。


私は恐怖でおかしくなりそうだった。いつ壊れるか、わからない心。限界は近かった。


「本当は何の目的で私を誘拐したの?」


「最初にも話した通り、僕はキミが好きなんだ。だから永遠に一緒にいよう」


「私は雷雨様のメイドだって言ってるでしょ?」


「それでもいいよ。心が雷雨くんのモノだって僕は一向に構わない。キミが僕の隣にいてくれるならそれでいい」


「……狂ってる」


「よく言われるよ。前の彼女もさぁ、その前の恋人も気がつけば息をしなくなってた。キミはいつまで息をしてられるのかな?楽しみだね、雪璃ちゃん」


「っ……」


神宮くんはおかしい。それに今更気づいても遅いけど。


神宮くんが好きになった女の子たちはどこに行ったの?私と同じように監禁され、そのまま……。


考えたくもなかった。もしかしたら私も……そう考えると、この状況から一刻も早く逃げなくてはいけない。


だけど、どうしよう。この屋敷に来てから私、神宮くんの部屋から出たことないんだけど。


寝るときはベッドに片手を手錠で繋がれている。食事やトイレなどは見張られている。神宮くんの世話をしているときは常に神宮くんが隣にいる。


私が一人でいる時間はない。完全に詰んでいる。でも、私は諦めてない。私は雷雨様の専属メイドなんだから……。
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