唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています
「そういえばお前に見合いの話が来ている。相手もお前と同じヴァンパイアだ。やはり子孫を残すには同じ種族がいい。所詮、佐倉は人間だ。混ざりものを家に呼ぶなど間違いだった」


「雪璃は俺のだ。契約だってした。だから……」


「佐倉はお前の吸血衝動を抑えるために必要な食料に過ぎない」


「違う」


「何が違うというんだ?」


「雪璃は俺の大切な奴だ。人間とヴァンパイアが禁忌とされている?そんなのは昔の話だ。俺は雪璃のことがこの世で一番好きなんだよ!」


「だから見合いを断るというのか?許さないぞ」


「親父に認められようなんて思ってない。俺は一人でも雪璃を助けに行く!アイツは俺の助けを待っているから!!」


「おい、雷雨!……ったく、アイツは我が息子ながら困ったヤツだ」


「どうしますか」


「雷雨と雪璃が好きな食事でも用意しておけ」


「旦那様はお優しいですね」


「雪璃は人間はいえ、雷雨のメイドだ。ほかの者にくれてやる筋合いはない」


「だったら、あんな突き放すような言葉を言うのはやめればいいのに」


「雷雨も立派な大人だ。我の息子なら困難に一人で戦うのも必要だ。それよりも西園寺家を所有物を奪ったんだ。早急に神宮家を潰せ。それと殺しはするな。あくまでも交渉だ」


「本当は雪璃様をメイドとして認めているんですね」


「なにか言ったか?」


「……なにも。私を含め、今すぐヴァンパイアの執事を招集し、神宮家を特定次第、神宮家に交渉しに行ってきます」
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