ビターショコラ系幼なじみ彼氏の溺愛
昔から、私と夏希がケンカをすれば大抵肩を持たれるのは容量の良い夏希の方。
親達の前で、勝てないことは目に見えていた。
そう。いつもならここで私が折れて、夏希と仲直りする流れなのだが…。
「……もういいっ!皆、私の苦労も知らないくせに…夏希のことばっかり!もう知らない、勝手にすれば?」
今までの蓄積も相まって、その日は我慢できなかった。
私の反抗に、夏希も母親たちも驚いたように目を見開いている。
その横を颯爽と通り抜け、私は自分のクラスへと1人歩いて行ったのだったー…。
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コンコンッと私の部屋の窓を叩く音が聞こえる。
「…何?」
不機嫌そうな声をあげ、私がガラッと窓を開けると、そこにいたのは夏希だ。
実は私の部屋と夏希の部屋は真向かいにある。
ベランダ越しに距離はそこまで遠くないため夏希は昔から玄関を使うのが面倒だと言う理由で、ベランダを飛び越えて私の部屋に遊びに来るのだ。
まぁ、私は怖いからしないけど。
「…何で今日はそんなに怒ってんの?」
少し気遣うような視線を私に向ける夏希。
結局、あの後。
入学式が終わり、私は仲良くなった同じクラスの友達と一緒に帰るからと母親にチャットでメッセージを送って、夏希とは顔を合わせなかった。