ビターショコラ系幼なじみ彼氏の溺愛
「別に…怒ってない」
「じゃあ、何で帰り一緒に来なかったんだよ」
「同じクラスの友達ができたから、その子と帰っただけだもん」
まぁ、これは本当の話。
同じクラスでたまたま席が前後だった矢川沙奈ちゃんという子と仲良くなって一緒に帰ったのだ。
ちなみに案の定、新入生代表の夏希はうちのクラスでもすでに噂になっていて。
仲良くなった沙奈ちゃんも「カッコいい…!」と評価していた。
「ふーん…そっか」
何か思案するような表情で呟く夏希。
「夏希こそ、それ聞きにきただけ?もう用事すんだなら部屋に戻って…」
そう言って、私が窓を閉めようとした時。
「あのさ、心春」
「な、何…」
バシッと私の手を掴み、部屋の中に入ってきた彼に私はつい動揺してしまう。
いつになく真剣な面持ちで夏希は私を見つめ、「俺と同じ高校そんなに嫌?」と問いかけてきた。
「…ッ」
予想外な質問と、近い距離感に私は小さく息を呑む。
あれ…?
というか、夏希の手ってこんなに大きかったっけ?
掴まれた自分の手と夏希の手を見比べ、私は目を丸くした。
中学生になったばかりの頃は、身長だって私とそう変わらなかったのに。
ここ数年でニョキニョキと伸びたヤツの背丈はすでに170センチはこえている。