ビターショコラ系幼なじみ彼氏の溺愛
そして、次の瞬間。
フッといたずらっ子のように口角を上げる彼に目を見張った。
その表情には見覚えがある。
それは…夏希が昔から何かを企む時にする顔だ。
昔から悪知恵が働いていたヤツは、事あるごとにイタズラを計画しては、私に罪をなすりつけていて…。
小さい頃から、夏希のその表情を見る度に被害を受けてきたことを思い出し、私は思わず身震いする。
「夏希…。何か企んでないよね?」
嫌な予感がして、おそるおそる問いかける私に対して一瞬、ヤツは目を見開いた気がしたが。
「別に何も?そんなことより、明日からまた学校だしそろそろ寝ろよ?入学式翌日から遅刻とかシャレになんねーし。とりあえず学校では用事がない時は心春の所いかないから安心しろよ。じゃ、おやすみ」
それだけ言い残し、やけにあっさりと自室に戻っていく夏希に私は内心ホッと息をつく。
『とりあえず学校では用事がない時は心春の所いかないから』なんてヤツの口から出てくるなんて思わなかった。
「多少はわかってくれたのかな…?こんなことならもっと早く夏希に話しとけばよかったかも」
クスッと小さく笑みをこぼし、ルンルン気分で自分のベッドに横になる。
明日からの高校生活に思いを馳せながら、私はソっと瞼を閉じたのだった。
ーー…しかし、翌日からの高校生活。
夏希の言葉を信用した私がバカだったと思い知ることになるー…。