ビターショコラ系幼なじみ彼氏の溺愛
よいしょとベランダを乗り越えようとする私に。
「ちょっ、心春はここから出入(でい)り禁止だって言っただろ。危ないから…!」と、慌てた様子で夏希が止めに入る。
「大丈夫だよ。最初は怖かったけどもう慣れたし。距離だって数10センチだもん」
実は、ここ半年。
私も時々、ベランダを越えて夏希の部屋に立ち入ることがあって。
最初は怖かったけど、逆に今ではわざわざ玄関から夏希の部屋を訪ねるほうが面倒になってしまっていた。
ま。毎回バレたら今みたいに夏希から怒られるんだけどね〜。
「じゃあ、夏希がこっち来てよ」
ベランダを乗り越えるのをやめた私は、夏希に向かってそう声をかける。
「いや…。えっと、別に1問くらいだしここでよくね?」
…?
「だって、ベランダだと暗いし。ずっとここにいるの寒いもん」
現在、10月半ば。
まだ昼間は暑いけれど、日が沈んだこの時間帯はわりと寒くなってきていた。
「まぁ…。確かにちょっと寒くなってきたな」
「でしょ?風が強い日とか特に寒いよね〜。寒暖差激しいし夏希も体調崩さないようにしないとだよ」
「あぁ…うん。心春もな」
なぜか歯切れの悪い夏希に首を傾げつつ、再度「ほら、部屋入って」と手招きをする。