ビターショコラ系幼なじみ彼氏の溺愛
「ハァ…わかった。とりあえず、俺も数学のノート持ってくるから先に部屋入ってろ」
「うん、わかった」
コクリと頷くと、私は言われた通り先に部屋の中へと戻った。
それにしても…。
なんか今日の夏希って変、だよね。
だって、いつもだったら普通に許可なんてとらなくても部屋に入ってくるのに。
何故か私の部屋に入ることを躊躇(ちゅうちょ)する姿に違和感を覚えた。
私が多人数で勉強する時に、使用する折りたたみ式の小さなテーブルをクローゼットから取り出しつつ、1人考え込んでいると。
ー…カラカラ。
ゆっくりとベランダの窓を開け、おずおずと私の部屋に入ってくる夏希の姿が視界に飛び込んでくる。
「わざわざゴメンね。こっち座ってて?飲み物だけ持ってくるから」
「飲み物とかいいよ。そんなことより、1問だけなんだろ早く終わらせようぜ」
「…?う、うん。夏希がそう言うなら…」
先ほど出したテーブルのそばにちょこんと腰を下ろし、私は数学の教科書を広げた。