ビターショコラ系幼なじみ彼氏の溺愛

何を当たり前のことを言っているのかと、キョトンとした表情を浮かべる私に向かって夏希は「…ハァ」と、盛大なため息をついた。


「なんのため息…??」


「いや、心春が俺が考えている以上に危機感ないんだなって」


「夏希に危機感…?なぜ??」


夏希の言っている意味がわからず、私が首を傾げた時。


「へぇ、そっか。わかった。じゃあ、もう俺も我慢しないで好きなようにするわ」


ゾクッ。


いつもより低い声。

表情は笑ってはいるが、なぜか目の奥が笑っていない夏希に私は目を見開く。

しかも、さっきまで真向かいに座っていたくせに、急に私の隣に座り直したヤツは、カーペットにおろしていた私の手にスルッと自分の指を絡めてきた。


「ちょっ、ちょっと夏希…!?急にどうしたの?」


「ん?だって、心春が隣に座れって言ったんじゃん」

「そ、それはそうだけど」


「それに俺、今、心春と手繋ぎたいし」


「……な、な」

ニコッと爽やかな笑顔を浮かべる夏希とは対象的に、私は、恥ずかしさから頬が真っ赤に染まり、うまく言葉が出てこない。

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