ビターショコラ系幼なじみ彼氏の溺愛


夏希は、ニコッと爽やかな笑顔で沙奈に声をかけると、足早に教室の出口に向かって歩みを進めた。

「あ、ちょっと夏希待ってよ。沙奈、また明日ね…!」

「バイバイ」と最後に沙奈に手を振り、私も夏希の後ろに続いて教室を後にしたのだったーー…。


❥❥


「夏希、足速いよ。もう少しゆっくり歩いて」

学校の正門を出て数分、私は夏希に向かって声をかける。

私の身長が155センチなのに対し、夏希は、175センチ。その差は20センチあり、当然、歩幅も違うわけで。

中学1年生までは、私の方が大きかったのなぁ…。

いつの頃からだろうか。

夏希を見上げるのが当たり前になってしまったのは…。

少し寂しい気持ちになりながら夏希を見つめていると。

「そっか…。ゴメンな。俺の足が長いから」

心底申し訳無さそうにそんなことを言い放つヤツに私は若干、カチンときた。

「何それ、私の足が短いって言いたいわけ?」

「別に?そんなこと言ってないじゃん。被害妄想激しいんだから、心春は」

クスッと笑みを浮かべ、楽しそうに私をからかう夏希。

まったく、こういう所は小学生の頃から全然、変わらないんだから。

昔からそう。

夏希って私をからかうのが生きがいかってくらい、時たま今みたいに、イラッとする言葉をかけてくるのだ。

「ふん。どうせ私の背は小さいですし〜、足も短いですよ」
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