ビターショコラ系幼なじみ彼氏の溺愛
まぁ、そんなヤツの挑発にまんまとのってしまう私も私なんだけど…。
ふいっと、そっぽを向いた私に対して小さく肩をすくめた夏希は「心春、ほら」と手を差し出してくる。
「…ん」
差し出された手をキュッと掴むと、夏希も優しく握り返してきた。
夏希って、なんだかんだ優しいんだよな…。
まぁ、そういう所を私が好きになったわけだけど。
私の手を握り、歩幅を合わせてくれる彼の横顔をチラリと盗み見る。
いつものように飄々(ひょうひょう)とした様子の夏希にチクンと胸が痛む。
なんか、ドキドキしてるの私だけみたいで悔しいなぁ…。
家まで続く帰り道。
家が隣同士の私達は小学生の頃からよくいっしょに帰ったりはしてたんだけど、幼なじみから恋人に関係性が変わってからは、今日が初めてだ。
そう言えば、夏希とこんな風に手を繋ぐのに、ドキドキし始めたのはいつからだろう?
昨日、夏希は『昔から心春のこと好きなんだ』って言ってくれたけど、絶対私のほうが先だと思う。
そう。私が夏希を異性として意識し始めたのは、高校1年生になったばかりの頃だったー…。