星が代わりに泣いてくれるから
「そっか。セリカもなにかあったら力になるからね。まあないほうがいいけど、こんなこと」
「わかった。ミクちゃんも無理したらだめだよ」
ぴ、と電源マークを押して通話を終えて自分のよそったおかずに一口手を着ける。
口に含んでなんの味もおいしさも感じられなかった。その途端一気に空しさだけが広がって、涙がぽろぽろと溢れた。
二人で住んでいるのに、まるで一人っきりのようで。箸を置いて、おかずを生ごみに捨てる。旦那の分はかろうじてラップをして冷蔵庫にいれた。
車の鍵のストラップは旦那と交際していた時にお揃いにしていた熊のキーホルダーだった。
旦那が青で私がピンク。
この子達は一体ずつでは売られていなかった。二つセット。この時はたしかに私たちは対だった。小さな鞄に、財布と携帯電話をいれて部屋を真っ暗にして家を出た。
私のお給料で買った小さなミニバンだ。好きな色といわれてミルクティーのような色にした。旦那はどうしてこの色にするのか、他の色にしないのかと言われたがこの色がよかった。
そういえば、私が意見を押し通すとき彼は決まって不機嫌になっていたなぁと思い出した。車の鍵を開け、乗り込む。
シートベルトをつけて、発進した。まだ夜の八時だ。
なら真夜中のドライブをするにはちょうどいいのかもしれない。