友だちでいたいのに
3.心のモヤモヤ
恭司とは中学の美術部のころからいっしょだった。
そのときのあたしはマンガみたいなイラストしか描けなかったけど、恭司は、デッサンも水彩画も上手くて。
いつもは仏頂面だけど、真剣にキャンバスに向かってるときの恭司の横顔は、とてもりりしくて、あこがれてた女の子も多かった。
だけど、本人はそういうのにうといのか、誰ともつき合う気はなかったみたい。
将来は画家になりたくて、美術系の大学めざしてるって話を聞いたとき、あたしはとても感激して、
「がんばって! 恭司なら絶対に合格できるよ」
って、はげましたっけ。
だけど、今……。
今のあたしは。
「着いたよー! 地主神社、ここ、めっちゃ縁結びのパワースポットって有名なんだ♪ ねぇ、瑠奈。聞いてる?」
「え? ゴメン、なんだっけ」
ユカちゃんは、フーッとため息をついて。
「ちょっと瑠奈! せっかく縁結びのパワースポットに来たんだから、もっと気合いれなよ。そりゃ瑠奈は三船くんと仲いいから、余裕かもしんないけどさー」
「だから、ちがうって言ってんじゃん! あたしと恭司は――」
「え、ちがうの?」
驚いたように目を見開いたのは、同じ班の美咲。
長身で目がパッチリしてて、鼻が高くて。明るい茶色の髪の毛が腰まであって。
ファッション雑誌のモデルさんみたいにかわいいんだ。
「じゃあ、ねらっちゃおうかな〜? 三船くんのこと」
そう明るく口にする美咲に、あたしは答える。
「い……いいんじゃない? 恭司、彼女いないみたいだし」
「えっ? 美咲、三船くんタイプなの? てか、こないだまで彼氏いなかったっけ?」
意外そうな表情を浮かべるユカちゃんに、美咲は不敵に笑って。
「志村くんとはもう別れたの。あたし、志村くんより、三船くんみたいなクールなタイプが好みなんだもん。それにイケメンじゃない? キリッとした顔つきしてるよね」
恭司がイケメン? いつもあんなにムスッとしてるヤツが?
でも……美咲と恭司なら、きっとお似合いのカップルになるだろうな。
ふたりとも背が高いし、並んで歩いたら、さまになるかも。
美咲も恭司もあたしの友だちだから。
もし、美咲がほんとうに恭司のことが好きなら応援してあげるべきなのに。
あたしの心には今、なんともいえないモヤモヤがうず巻いている。
神さま、もしいるのなら。
あたしの心から、このモヤモヤを消してください。
助けを求めるような気持ちで、あたしは力強く手を合わせた。
そのときのあたしはマンガみたいなイラストしか描けなかったけど、恭司は、デッサンも水彩画も上手くて。
いつもは仏頂面だけど、真剣にキャンバスに向かってるときの恭司の横顔は、とてもりりしくて、あこがれてた女の子も多かった。
だけど、本人はそういうのにうといのか、誰ともつき合う気はなかったみたい。
将来は画家になりたくて、美術系の大学めざしてるって話を聞いたとき、あたしはとても感激して、
「がんばって! 恭司なら絶対に合格できるよ」
って、はげましたっけ。
だけど、今……。
今のあたしは。
「着いたよー! 地主神社、ここ、めっちゃ縁結びのパワースポットって有名なんだ♪ ねぇ、瑠奈。聞いてる?」
「え? ゴメン、なんだっけ」
ユカちゃんは、フーッとため息をついて。
「ちょっと瑠奈! せっかく縁結びのパワースポットに来たんだから、もっと気合いれなよ。そりゃ瑠奈は三船くんと仲いいから、余裕かもしんないけどさー」
「だから、ちがうって言ってんじゃん! あたしと恭司は――」
「え、ちがうの?」
驚いたように目を見開いたのは、同じ班の美咲。
長身で目がパッチリしてて、鼻が高くて。明るい茶色の髪の毛が腰まであって。
ファッション雑誌のモデルさんみたいにかわいいんだ。
「じゃあ、ねらっちゃおうかな〜? 三船くんのこと」
そう明るく口にする美咲に、あたしは答える。
「い……いいんじゃない? 恭司、彼女いないみたいだし」
「えっ? 美咲、三船くんタイプなの? てか、こないだまで彼氏いなかったっけ?」
意外そうな表情を浮かべるユカちゃんに、美咲は不敵に笑って。
「志村くんとはもう別れたの。あたし、志村くんより、三船くんみたいなクールなタイプが好みなんだもん。それにイケメンじゃない? キリッとした顔つきしてるよね」
恭司がイケメン? いつもあんなにムスッとしてるヤツが?
でも……美咲と恭司なら、きっとお似合いのカップルになるだろうな。
ふたりとも背が高いし、並んで歩いたら、さまになるかも。
美咲も恭司もあたしの友だちだから。
もし、美咲がほんとうに恭司のことが好きなら応援してあげるべきなのに。
あたしの心には今、なんともいえないモヤモヤがうず巻いている。
神さま、もしいるのなら。
あたしの心から、このモヤモヤを消してください。
助けを求めるような気持ちで、あたしは力強く手を合わせた。