友だちでいたいのに

8.言い訳ばかりの心

「瑠奈、なんでやめたんだよ。絵描くの」
 そうたずねられて、あたしはうつむく。
「高校でも、美術部入ると思ってたのに」
「だって、高校に入ってからは前よりも勉強たいへんになったし。それに、あたし、恭司みたいに才能ないし――」
 ああ、やだな。なに言い訳してんだろ、あたし。

「オレはオマエの絵好きだったけどな。ほら、よく描いてただろ? ウサギだかネコだかよく分かんねぇイラスト。あれ、よかったぞ。なんかゆるくて」
「そんなふうにほめてもらってもうれしくない……」
 もう、あたしのことはほっといてよ。

 だけど、恭司は相変わらずあたしのほうを向きながら。
「高校入学してから、オマエちょっと変わったよな。一年のときも、今も同じクラスなのに、中学のときほどオレに近寄らなくなったし。オレから話しかけることのほうが多くね?」
「そりゃ、ユカちゃんや美咲といっしょに過ごしてたほうが楽しいし。そうアンタのことばっかりかまってらんないって!」
 すると、恭司はピタッとだまりこんだ。
 
 しまった。
 いやな言いかたしちゃった。
 つき放すような言葉を投げるつもりなんてなかったのに。
 今のあたし、すっごい感じ悪い……。
< 8 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop