17歳の秋、君と過ごした1泊2日。
時刻はまもなく14時半。


お昼ご飯を食べ終えたわたし達は街中を歩く。


ちなみにお昼ご飯に食べたのはお蕎麦。


お蕎麦屋さんを見つけた時の委員長の目の輝きようがすごくて、お店に入らずにはいられなかったんだよね。


目キラッキラだったもんなぁ。


「委員長ってお蕎麦好きなんだね」


わたしが思い出したように言うと、委員長が食い気味に答える。


「はい!もうめちゃくちゃ好きで。あ、ちなみにあのお店って全国の蕎麦屋の中でもすごく有名なお店なんですよ。僕の修学旅行の任務は果たしたと言ってもいいくらいの美味しいお蕎麦でしたね」


ドヤ顔で言うその姿に思わずツッコミを入れる。


「いやいや委員長、まだ初日だからね?」


するとメガネの奥の瞳がわたしをとらえる。


...なによ?


「京都に来て、1番最初にはしゃいでいた人には言われたくない言葉ですね」


なっ!?


「クラスの委員長がそんなこと言っていーんですか!?」


「はいはい」


わたしと委員長の会話はいつもこんな感じ。


仲がいいのか悪いのか。


そんなわたし達の会話を無視して、スマホを見ていた桜が口を開く。


「ね、反対側の通りにソフトクリームあるっぽいから行ってみよーよ」


...はぁい。


桜の声に返事をして反対側の通りへと向かう。


ん?


そういえば、さっきから優くんの声を聞いていないような。


そのことに気づいたわたしは、さりげなく優くんの隣に行って優くんを盗み見る。


...えーっと。


なんかすっごい真顔なんですけど。


真顔っていうか、無愛想っていうか。


いつもの優くんスマイルはどこいった?


こういう表情はじめて見たかも。


そうこうしているうちに、いつの間にか桜と委員長、わたしと優くんの2列になって歩く。


ほんとに無言だなぁ。


そう思いつつ優くんを見上げると。


ーーーバチッ


「っ、」

わたしと優くんの視線がぶつかった。


一瞬で動けなくなり立ち止まる。


最近気づいたけど、わたしは多分この視線に弱い。


甘い目をして見つめてくる優くん。


いつもだったら目をそらさずにニヤッと笑って、わたしをからかう言葉を言ってくるのに。


優くんは何も言わず、フイッとわたしから目をそらしてそのまま歩き出した。


「えっ...?」


なんで?


いや、なんでっていうのもちょっと変だけど。


...体調悪いのかなぁ?


そういえばさっき優くんお蕎麦大盛り頼んでたよね。


だからかもしれない。


お腹痛いのかしら?


わたしはそう思いつつ、少し先を歩く優くんの隣に並んだ。
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