17歳の秋、君と過ごした1泊2日。
歩きながら周りに目を向けると、街中は着物を着ている人でいっぱい。


さすが日本の街だなぁ。


あの女の子が着てる白の着物キレイ。
あ、でも黒色の着物も可愛いな。


すれ違う女の子達の着物を眺めていると、淡い水色の着物を着た1人の女性に目を奪われる。


白塗りの顔に、真っ赤な唇の綺麗な女性。


わたしが笑顔で優くんの方を向くと、なぜか優くんもわたしの方を見た。


そして同時に口を開く。


「ねぇ優くん、舞妓さん!」

「みゆ、舞妓さんいるよ」


2人の声が重なった。


「わたしが言いたかったのになー」


「まぁ先に言ったのは僕だけどね」


そう言って微笑む優くん。


さっきの真顔はやっぱり気のせい?


...ま、いっか。


それより、今のすごく嬉しかったなぁ。


同じタイミングで同じものを見て同じことを思ったことが、とても嬉しい。


何も知らない人がわたし達を見たらカップルに見えるのかな。


不意に見せる優しい笑顔に錯覚してしまいそうになる。


...わたしの片思いなのにね。


そんなことを考えながら舞妓さんの横を通り過ぎると、後ろから誰かにぶつかられた。
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