17歳の秋、君と過ごした1泊2日。
2人のもとへ歩き出すわたし達。


...危なかったぁ。


わたし何を聞こうとしてた?


好きな人?


いやいや、優くんそういうのが嫌いなの、1番よくわかってるでしょ。


聞いてしまう前に委員長が止めてくれて助かった。


心の中で委員長に感謝をしていると、遠くで桜の呆れた声が聞こえてくる。


「ねぇあんたバカなの?もうちょっとタイミング考えなさいよ?」


「...少なくとも桜さんよりは頭良いと思いますけど」


「委員長顔はいいんだから、もうちょい女心がわかれば宮野 優に追いつけるんだけどなぁ」


「僕ら何も競ってませんよ」


またなんか言い合ってるな...。


「ねぇみゆ、またなんかケンカしてるよ桜ちゃんといーんちょー」


ほら、優くんにまで言われてる。


「ほんとだね。てか委員長のあんな大きな声、はじめて聞いたな」


「...またいーんちょーの話」


そう言いながら繋いだ手にギュッと力を入れる優くん。


繋いだ手?


ん?


あ!ちょ、手!!


「ね、優くん、手離さなきゃ」


「んーなんで?」


「なんで...?いや、なんででもだよ、桜たちに見られるじゃん。とりあえず離そう」


そう言って手を離そうとするけど、さらに力を入れて握ってくる優くん。


えぇぇ...。


手を繋いで歩いた今までの道には、同じ学校の生徒はいなかったからあまり気にしてなかったけど。


もしこれを誰かに見られたりしたら、とんでもないことになっちゃうんじゃ...?


その前に離さないと。


するとそこへ、タイミング良くわたし達の方へと歩いてくる他のクラスの男女グループが。


...やばい。


「まって優くんほんとにこれダメなやつだよ、離し」


「いーやーだ」


怪しい笑顔を浮かべながら言う優くんに、わたしはプチパニック。


「ねぇ優くん、ほんとにこれ誰かに見られたら」


「見せつければいーじゃん」


そう言って優くんは繋いでいる手を上にあげた。
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