17歳の秋、君と過ごした1泊2日。
2日目 告白
「えっ?」
少し早歩きで進む優くんに歩いて追いつけるはずもなく、わたしは小走りでついていく。
「ね、ちょっ、と、優くん!?」
手をしっかりと繋がれているから、ほどこうにもほどけない。
手を繋いでいるわたし達とすれ違う生徒の声が聞こえる。
「キャー!やば!」
「なんで手繋いでるの!?」
「人前では手を出さない宮野 優が手繋いで歩いてる!?」
みんなに見られて恥ずかしいけど繋がれた手が温かい。
なんだろう、この気持ち。
なんだか胸がいっぱいになったわたしは、下を向いたまま早歩きで優くんについて行く。
すると、不意に立ち止まった優くんの背中にぶつかった。
「いたっ、あ、ごめん」
周りを見ると、パーク全体が見渡せる場所にわたし達は立っていた。
うわぁ、綺麗...。
「みゆ」
優くんの声が私を呼ぶ。
「みゆってずるいよね」
えーっと。
ずるさでいえば、優くんの方が絶対にずるいと思うけど。
しかもそれ聞くの2回目だし。
「あの、それはどういう...?」
「鈍感でバカで、表情がよく変わるから見てて飽きない」
「...ほぼ悪口のような」
「うれしそーな顔もびっくりした顔も、照れた顔も僕に見とれてる顔も全部可愛い。そんな子に出会ったのって僕はじめてで」
あの、優くん?
「僕に振り回されてるように見えて、ほんとは僕がみゆに振り回されて。だからみゆはずるい」
「さっきから何言ってるのかまったく、」
「うん。僕も何言ってるのかわかんなくなってきたから、一言で言っちゃうね」
「みゆがほしい」
「みゆのことが好き。僕の彼女になってください」
え...?
「ゆ、うくん、」
優くんの声で甘く紡がれた言葉。
たくさんの笑顔と、たくさんのドキドキをくれて。
泣くこともあったけど、やっぱり好きという気持ちは消えなくて。
わたしの心はとっくに優くんでいっぱいなのに。
「...ずるい、よ、」
お互いを見つめる2人。
「ずるいのはみゆだってば。で、どーするの?僕の彼女になってくれる?」
「...その聞き方がずるいんだって、そんなの断るわけないじゃん、」
「それを一言でいうと?」
やっぱり右の口角が上がっている優くんの目を見て、わたしはハッキリと言う。
「わたしも優くんのことが好き、です」