17歳の秋、君と過ごした1泊2日。
『......なんですか、宮野くん』
え?
「いいん、ちょう、の声?」
『あ、みゆさん聞こえます?』
「えっと、うん...聞こえる、けど」
『2人とも、あと15分で集合ですからね。絶対遅れちゃダメですよ!まじで次遅れたらバス乗せないってさっき先生に言われたので』
「いーんちょーわかったぁばいばーい」
『あ、ちょっと宮野く』
ブチッ。
わたしは一瞬の出来事に呆然としつつ優くんを見ると、やっぱり右の口角が上がっている。
「...ねぇ優くん、わかっててわたしをからかったでしょ」
「女の子って勘違いするほーが悪い」
「でもそうだよね、委員長の名前って『吉塚 海(よしづか うみ)』だもんね」
「そーだよ、よく考えたらわかること。これいーんちょーに言っとこ」
「え!やだよやめてよ、わたしが怒られるじゃん」
「それが見たいんじゃん」
「...もう!」
優くんにからかわれていると、あっという間に観覧車が1周して降りる順番が来る。
観覧車から降りて時計を見ると集合時間の3分前。
「わ!まってやばい!優くん走るよ!」
「えー」
「ほら早く!バス乗れなくなっちゃう!」
バタバタと走るわたし達。
「お前ら急げーー!!」という先生の声を聞きながら桜と委員長と合流し、わたし達はなんとかバスに乗ることが出来たのだった。