17歳の秋、君と過ごした1泊2日。

1日目 午後、京都

「ありがとうございましたー」


トントントンっとリズム良くバスを降りたわたしは、両手を組んで大きく背伸びをする。


やっと着いたぁ。


「京都初上陸ー!!」


大きな声で言うわたしを見て、一斉に吹き出す3人。


「…今なんで笑ったの」


「「「…」」」


あ、全員にスルーされた。


わたしの嘆きを綺麗にかわす3人。


ちなみにわたし達の班は桜が班長だから、桜、委員長、わたし、優くんの順で1列に並んでいる。


「ずっと同じ姿勢で3時間はさすがにキツかったですね」


「うん、もう身体バキバキ。しかも委員長ずっと本読んでたもんね」


「桜さんこそずっとスマホ見てたじゃないですか」


そう言って伸びをする桜と委員長。


他のクラスも続々とバスから降りて並びはじめる。


優くんはというと「ふわぁー」と声に出してあくびをして、眠たそうに目をこすっている。


あ、可愛い…。


いつもは見せない優くんの可愛さに心臓が跳ねる。


普段は「可愛い」より「かっこいい」と思うことが多いせいか、胸キュンの攻撃力が凄まじい。


この修学旅行でさらに優くんの沼にハマりそうな気がするなぁ。


キケンな沼なのは十分承知済みだけどね。


そういえば、いきなり起こされて寝ぼけたままだったからわからなかったけど、誰がわたしを起こしてくれたんだろう。


うーん。
あとで桜に聞けばいっか。


わたしはバスの中でのことを考えながら、前で話をしている先生を見た。
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