致し方ないので、上司お持ち帰りしました
後悔が押し寄せる中、やっと真白さんの口が開いた。
「新しい部屋、決まったの?」
「まだ、なんです。あ、でも。急いで探しているので……」
「困るよ」
胸が痛かった。わかっていたのに、心臓あたりが痛い。
「は、早く出て行くないと困りますよね。すみません」
「いや、泉さんに出て行かれたら困る」
「困りますよね。早く出ていき……え?」
今、なんていった?
私の耳は自分の都合のいいように聞こえる耳に狂ってしまったのだろうか。
「困りますよね? 早く出ていかないと、」
「泉さんに出ていかれたら困る」
聞き間違いではなかった。正常に耳が機能していた。
「私がいて迷惑なんじゃないんですか?」
「迷惑なわけないよ」
迷惑じゃないと言われて嬉しい反面、どうしても昨日の言葉が引っかかる。「この生活も終わり」と言っていたことは事実だったからだ。