致し方ないので、上司お持ち帰りしました




「お、俺。何か泣かせるようなこと言った?!」

「だって。真白さんを好きになっても、絶対叶わない恋だと思ってたから……」


 手首を掴まれグイッと引き寄せられた。筋肉質な胸元の熱を感じる。


 あたたかくて、ドクドクと心臓の音が聞こえてくる。愛しい人に抱きしめられた。幸せの余韻に浸ってると、肩を持ちグイッと離される。


「え?」

「またやっちゃった。ごめん。俺、本当すぐ手出しちゃうな、」


 一度感じたあたたかなぬくもりが消えて、身体が寂しさを感じている。彼の熱を感じたいと欲してくる。
 
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