致し方ないので、上司お持ち帰りしました




「あの、真白さんは彼女さんとかいらっしゃるんですか?」

「いないけど……」

「真白さんは……今まで出会えなかった運命の人なんです!(今まで出会えなかった童貞なんです!)」

「申し訳ないのだけれど。泉さんとはお付き合いを考えられません。俺、女性に興味がないので。今後も考えられません」



 意気揚々に伝えたのに、丁寧に拒否されてしまった。



 女性に興味がない。そのパターンだとは思わなかった。でも、妙に納得もしてしまう。女性に興味ないということは、童貞という非現実的ワードが真実味を帯びてくる。
 

 しかし、こんなに整った顔立ちで女性に興味がないだなんて、勿体無い。非常に勿体無い。イケメンの無駄遣いすぎる。



「えっと、それは男性が恋愛対象ということでしょうか?」

「い、いや。恋愛対象は女性だと思う。だけど、興味がないんだ」

「興味がないとは? 恋愛に? 女性に?」

「……異様にがつがつくる女性ばかりで、いつの間にか女性が苦手になってたんだ」 



 きちんと説明してくれるが、酒が残っているせいか、頬をほんのり赤く染めて呂律が回っていない。呂律が回らない口で綴る姿は少し可愛いと思ってしまった。

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