致し方ないので、上司お持ち帰りしました



 真白さんのマンションが視界に入る。

 真白さんが隠れているであろうコンビニに足を踏み入れた。

 運動不足のくせに準備運動もせず走ったので、肩が上がって息がしずらい。ゆっくり深呼吸をして呼吸を整えながら、真白さんを探した。



「泉さんっ!」


 辺りを探していると、私を呼ぶ声が耳に届いた。現れた真白さんはひどく怯えたような顔をしていた。


 真白さんの顔を見たら、私の心も和んでいた。震える手もいつのまにか止まっていた。



「どうしたんですか? 助けてって。何があったんですか?」

「あれ、見える?」


 真白さんが指を刺したのは、コンビニから見える真白さんのマンション。マンションの目の前をうろうろと歩く人影に見覚えがあった。


「あれって、秋月さん?!」

「はあー。なんで家ばれたんだろう!?」


 なんで秋月さんが真白さんのマンションに?
 状況が呑み込めない。
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