致し方ないので、上司お持ち帰りしました



 髪の毛を乾かし終えた頃には、眠気が飛んでいた。あらためて部屋の中を一通り案内してもらう。

 2LDKのマンションは想像以上に大きかった。有難いことに物置として使っていた部屋を私の部屋として使えることなった。さすがに寝室が同じでは困る。


「真白さん、綺麗好きですか? 一人暮らしなのに、この綺麗さは凄いです」

「あー。うん。なにかと動いてしまう身体でね。気づくと掃除しちゃっているんだ」


 なんと。私は時間があれば、動かずにぐーたらしていたい。真白さんの欠点が今のところ見当たらない。


 モテる要素しか見当たらないのに、女性嫌いなんてもったいないなあ。

 そんな余計なお世話ながらに思ってしまった。


 
「これからのことなんだけど。きちんと話したほうがいいと思うんだ」

「そうですね」


 リビングに戻ってきた私たちは、今後のことを話始めた。


「泉さんの元カレは、家を引っ越したことで諦めてくれればいいのだけれど」

「とりあえず。アパートに帰らなければ接点はないですし。私の方は大丈夫だと思います。問題は……」

 目を合わせて互いに大きなため息を吐いた。


「「秋月さん、」」


 2人の声が重なる。

 秋月さんとは毎日会社で顔を合わせる。真白さんを落とすことを、意気込んでいた彼女はどんどんエスカレートしそうだ。


 
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