致し方ないので、上司お持ち帰りしました
「秋月さんには、泉さんと交際しているって伝えようと思うんだ」
「こ、交際っ!?」
「あー。ごめん。もちろん、ふりだよ。ダメかな?」
びっくりした。
知らない間に真白さんと付き合ってたのかと思った。
秋月さんを遠ざけるための恋人のふりか。
「私は大丈夫ですけど……嫌味はねちねち言われそうだなあ」
「そっか。だとしたら、やめておこうか。泉さんに迷惑を掛けたくないから」
「いや、交際してるふりで行きましょう! 実は、秋月さん苦手で。この件で少し距離を置けたら、私的にも有難いというか……」
「それは、嘘じゃない?」
「えっと。本音です」
「ならよかった。泉さんは、気を使うところあるでしょ? 気を使ってそう言っているのかと思ったんだ」
「……いえ、本心です」
普段気を使っていることを気づいてくれたことに驚いた。真白さんは営業部に移動してきてから、まだ日が浅い。それなのに、私の性格を見抜いてくれたんだ。
この日は話し合いの末、眠りについた。
同居初日。上司との同居は、いろいろ心配していたが、真白さんとなら平穏にやっていけそうな気がした。
初めての部屋だというのに、妙に安心してぐっすり眠りについた。