致し方ないので、上司お持ち帰りしました

 誰も反応を見せない中、再び真白さんが口を開いた。


「三上。何か知ってるんじゃないのか?」


 真白さんが声をかけたのは、三上くんだった。
 彼は入社二年目で秋月さんの同期だ。そして、2人はデスクが隣同士だった。

「あー。えっと、」

 三上くんは、気まずそうな声をあげて、明らかに目が泳いでいる。


「ずっと挙動不審だったぞ? 何か知っているなら教えてくれないか?」


「……えっと。俺聞こえました。泉さんが秋月さんに仕事割り振ってるところ。急ぎって頼まれたのに、手をつけようとしないから、気になっていたんですけど……言うのは告げ口みたいで気まずくて」


 観念したようにゆっくり話し出した。そんな彼を秋月さんはギロリと睨みつける。


 秋月さんの謀略にまんまと乗せられるところだった。三上くんが証言してくれて、心底ホッとしていた。


 三上くんの様子が変だったことに、全く気づけなかった。また真白さんに助けられた。



「どういうことか説明してくれる? 秋月さん」

「そ、それは……」


 証拠を叩きつけられても、自分の罪を認めない秋月さんに怒りを覚えた。


 
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