致し方ないので、上司お持ち帰りしました
「泉さん、不参加ってなってますけど、強制参加からしいです」
「えー、」
強制参加? 何それ聞いてない。
不満げにする私をよそに、「泉さんも参加で―す」なんて声を張りあげた。ここで拒否できない私も悪いが、それすらも知っていての行動なような気がする。秋月さんは悪気なく目を細めてにんまりと微笑んでいた。
「泉さん! 飲み会で私のこと持ち上げエピソード言ってくれません? 私、真白さん狙っているんですよ」
前のめりで話し出す。マスカラがばっちり塗られた瞳は目力が強い。思わず圧倒されて頷いてしまいそうになる。
「いやー、そういうのは。ちょっと……」
「お願いしましたからね!」
私の返答を聞くことなく、勝手に決定されてしまった。
私の方がだいぶ先輩なのだが、若いって怖い。先輩とか関係なしに意見を言ったり、ダメ出しをされることもあったりする。悪い子ではないと思いたいが、正直苦手だった。