致し方ないので、上司お持ち帰りしました





私はポカンと口を開けたまま、立ち尽くしていた。今起きている現状に頭が追いついていかない。そんな私に優しい声が降りてくる。


「怖かったよね。もう大丈夫だから」

「ま、真白さん! 調べてもらったって……?」

「あー。裕也に調べてもらった」

「え、裕也さんに?! なんで裕也さんが……」

「あいつ警察官だから」

「裕也さんが、警察官?!」



 チャラい見た目と陽気な話し方が警察官と結びつかなかった。まさか裕也さんが警察官だったとは。



 現状を理解しようと、頭をフル回転させるうちに、ある記憶を思い出した。同居初日に、元彼の名前を聞かれたことを。


「も、もしかして。同居初日に元彼の名前を聞いたのって……」

「そうだよ。あの時から裕也に調べてもらってた」




 同居初日に「花田楓」と名前を聞いた真白さんは、警察官の裕也さんに相談したらしい。


 
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