クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
恋人前提
寒っ!!
店の外に出ると、真冬の冷たい風がトナカイ姿の私の体に吹き込んだ。
着ぐるみだからそんなに寒くないだろうっていう私の考えは甘かった。
ビュンビュンと冷たい風が私の体を硬直させた。
だけど、胸の中はあったかいよ。
だって隣には翼君がいるんだもん。
翼君と私は、籐の籠にイチゴやミルク、いろんな種類の飴を入れて子供たちに手渡した。
「ママ、トナカイさんだ~」
子供は悪ガキのイメージしかなくてあんまり好きじゃなかったけど、
こんなふうに目を輝かせて見られると、かわいく思える。
飴を渡した子供たちに手を振ったり、握手をして愛想をふりまいた。
着ぐるみを着た私は、あくまでトナカイ。
だから絶対に喋っちゃいけないんだ。